2022年は悲しいニュースで「知床」というワードを耳にすることが多い一年でした。知床に住んでいる身として、観光船の需要回復に向けて少しでも力になれば!ということで、今回は知床の観光船解説です。知床の観光船と言っても、夏の絶景クルーズから冬の流氷クルーズ、場所も 羅臼側orウトロ側 といくつもあるんです。どのクルーズも見られる動物が違ったり、船の大きさも様々なので気になるクルーズを見つけて、知床観光の参考にしてくださいね!ちなみに、使用画像は全て実際に乗船した時に自分で撮ったものを使っています!紹介するのはこの4つ。それぞれの航路はこちら。では、ひとつづつ詳しくみていきましょう!【羅臼】ホエールウォッチングクルーズ根室海峡に回遊してくるクジラやシャチが見られるホエールウォッチングクルーズ。夏の羅臼観光のメインコンテンツです!シーズン:4月〜10月 ★筆者のおすすめは7月〜9月料金:8,800円所要時間:2.5時間見られる生き物:シャチ、イシイルカ、カマイルカ、マッコウクジラ、ミンククジラ、ツチクジラ、ハシボソミズナギドリ、その他このクルーズの見どころはなんと言ってもシャチです!野生のシャチが見られるのは日本で羅臼の海だけ。100頭近くのシャチが集まるスーパーポッドという現象が見られることも。シャチのベストシーズンは6月〜7月です。最もシャチの観察率が高い時期で、この時期は70%ほど。8月以降はシャチに代わって300頭近いマッコウクジラが根室海峡に入って来ると言われています。他にも根室海峡の豊富な魚を求めて、季節ごとに多種の鯨類が回遊してきます。私は、一度のクルーズでシャチ、マッコウクジラ、イシイルカのトリプルコンボに出会ったことも!この時は8月でした。羅臼町でホエールウォッチングができる観光事業所は5つありますが、各船同士で目撃情報を共有しているので観察率に差はないと思われます。料金は全社8,800円/大人1人で統一されています。宿泊施設によっては宿泊とホエールウォッチングのパックプランを設定しているかもしれないのでお泊りのホテルでチェックしてみてください!【羅臼】ヒグマウォッチングクルーズ知床半島先端部の手付かずの大自然と、海岸でサケやマスを捕らえる野生のヒグマのありのままの姿を観察できるヒグマウォッチングクルーズ。シーズン:4月〜10月 ★筆者のオススメは8月〜9月料金:10,000円所要時間:3時間見られる生き物:ヒグマ、トド、オジロワシ、ヒメウ、ウミウ、ウトウ、羅臼昆布、その他「北海道で野生のヒグマを見てみたい!」という人に圧倒的にオススメなのがこのクルーズです。知床半島はヒグマの高密度生息地域であるとはいえ、簡単に出逢えるものではありません。また、近年は野生のヒグマへの近距離接近による事故の危険や、餌付けによる人馴れなどの問題が発生しています。ヒグマとの距離を適切に保ち、安全にそして高確率にヒグマを観察するには船が最適。また、このクルーズの大きな特徴が漁師さんが漁に使う船外機での航海ということ!屋根の無い小さな船で潮風を浴びながら波間をガンガン進んでいくとまるで自分が漁師になった気分。小さな船ということもあり、沿岸ギリギリを航行できるので、クマもこんな距離感で写真が撮れちゃいます。潮が飛んでくる場合もあるのでカメラの扱いには注意が必要。クマに会えなくても、知床半島先端部の大迫力の断崖には圧倒されます。「知床」という名前の由来になったとされる、日本の最北東端の「知床岬」も見ることができます。7月〜8月には最高級昆布である「羅臼昆布」漁が航路のすぐそばで行われていることも!ベストシーズンは8月〜9月。あの、木彫りの熊でよく見る「鮭を咥える熊」がみられるのはこの時期です。川に遡上しにきたサケやカラフトマスを河口でクマが待ち伏せ。あの木彫りの熊って現実だったんだー!【ウトロ】知床岬絶景クルーズこちらも、知床の手付かずの自然や野生のヒグマが観察できるクルーズ。滝や奇岩などの見所が多いのもこのクルーズの特徴です。シーズン:4月〜10月 ★筆者のおすすめは7月〜9月料金:3,300円〜9,000円(コースによる)所要時間:1時間〜3時間15分(コースによる)見られる生き物:ヒグマ、エゾシカ、ケイマフリ、オジロワシ、カマイルカ、その他ウトロの観光船は事業所も多く、カムイワッカの滝までで折り返す1時間のコースから、知床岬まで周回するコース、といくつものプランが用意されているので、ちょっとした空き時間でも参加しやすいです。船の種類は大きく分けて2種類。大型船と小型船。コースは主に3種類あります。大型船のメリットとしては、船が大きいので揺れにくい!そして、船内の席数や売店、トイレの設備なども充実しているので、まったり優雅なクルーズを楽しみたい方には大型船がおすすめですね。対して小型船は、船が小さいため岸壁に近寄りやすいので景色だけじゃなくで動物もしっかり見たい!写真も撮りたい!という方におすすめです。コースは、流れ落ちる硫黄成分が海をエメラルドグリーン色に変えているカムイワッカの滝や乙女の涙という意味であるフレペの滝、様々な奇岩を間近に感じられる『カムイワッカの滝コース』ヒグマの聖地と言われる「ルシャ湾」をメインにした、ヒグマ観察率80%以上の『ルシャコース』ヒグマ観察から知床半島の絶景、滝まで全てを満喫したい!という方にオススメの『知床岬コース』があります。クマをじっくり見たい方は双眼鏡の準備をオススメします。事業所によっては船内や、受付時にレンタルできますのでスタッフの方に確認してみてください!【羅臼】流氷バードウォッチングクルーズ流氷が見られる最南端の地、知床。冬の羅臼のクルーズではこの流氷の間を進みながらオオワシ、オジロワシを観察するバードウォッチングができます。シーズン:1月〜3月 ★筆者のおすすめは2月〜3月上旬料金:4,400円、8,800円(コースによる)所要時間:1時間、2時間30分(コースによる)見られる生き物:オオワシ、オジロワシ、アザラシ、その他流氷は例年2月中旬に羅臼沿岸に着岸し、それからは風向きによって国後側に流れて行ったり、羅臼に戻ってきたり、確実にある。というものではありません。この流氷が来る少し前からワシ達は羅臼に集まります。絶滅危惧種でバードウォッチャーの憧れの鳥である、オオワシやオジロワシがこれでもかというほどいます。100羽以上のワシ達に囲まれることも珍しくありません。流氷が国後島の方へ流れてしまった、ということはあってもワシが見れないということはまずありません。町中にも「カラス以上にたくさんいるんじゃないか?」というほど、います。1番のおすすめは早朝クルーズ。日の出の時間に合わせて出港するので6時くらいの出港で超早起きになりますが、国後島の奥から上がる朝日にワシと流氷が照らされる光景は、何度も見ているクルーズ船の船長でも「あの景色は見なきゃもったいねぇ」と太鼓判。船には暖房のついた船室がありますが、写真を撮ろうと少しでも外に出ると、−10℃と海風で極寒なので、帽子、手袋、ブーツ、ダウンジャケットなど可能な限りの防寒をしていきましょう!知床半島の羅臼側、ウトロ側で運行している4種のクルーズをご紹介しました。気になるクルーズはありましたか?どのクルーズにも生き物が見やすいベストシーズンがあったり、もちろん相手は自然なので1回の乗船ではお目当ての動物に出逢えないこともあります。1度だけと言わず、季節を変えて何度も遊びに来てくださいね。